Special Interview 杉本達治さん(福井県知事)

杉本達治福井県知事に聞く!

福井で働き、
暮らす魅力。

幸福度ランキングでは、4回連続総合1位の福井県。この結果は、全国トップレベルの“働きやすさ”と“暮らしやすさ”が大きく影響しているが、実際はどうなのか。杉本達治福井県知事が考える、その理由とは?

PROFILE

岐阜県中津川市生まれ。東京大学卒業後、自治省(現:総務省)に入省。長野、徳島、山形にも赴任し、2004年、福井県総務部長に。2013年に福井県副知事となり、2019年、福井県知事に就任。趣味はウォーキングとパン作り。

“働く”ことは“暮らす”こと
人生をトータルで考えたら福井が一番。

将来を見据えた選択
理想のライフスタイルへの近道。

福井県は、幸福度日本一を誇り、労働・生活環境でも高い水準を維持しているが、一体なぜなのだろうか。岐阜県出身で大学卒業後は総務省に勤務。全国各地に赴任してきた杉本達治福井県知事だからこそ感じる、福井で働き・暮らすことの魅力についてお話を伺った。

「〝働く〟ことは〝暮らす〟ことでもあります。学生時代には、都会の刺激的な生活が魅力的に見えますが、就職を考える際には、結婚、子育て、老後など、今後のライフステージを意識して、これからの〝人生100年時代〟をどう過ごすのかを考えるべきです」。

例えば、結婚した場合を考えると、福井県は共働き世帯の割合や育児をしている女性の有業率が全国トップクラス。そのうえ待機児童がゼロで、保育料無償化の拡充や子育て世帯への支援も行なっている。

「自然環境はもとより、子どもたちが遊べる施設も数多くあります。恵まれた風土でのびのび育てられることから、学力や運動能力も常に上位。教育現場の先生方が非常に熱心で、きめ細かな指導により、一人ひとりの個性が輝く教育を進めています」。

近くに家族が住んでいれば、祖父母からの協力も得やすく、ワークライフバランスが実現しやすい。東京だと夫婦揃ってフルタイムでの勤務が難しいかもしれないが、福井ではそれが可能。実際、福井と東京の60歳までの家計を比較すると、福井の方が3000万円得になるという試算もあるという。また、地価も手頃なため、憧れのマイホーム購入も夢ではない。

「福井では20代で家を建てる人も珍しくありません。広々とした間取りなら子育てもしやすく、ゆとりのある生活を送れますよね。三世代同居・近居を含め、暮らし方はどんどん多様になり、若い人達は自分らしいライフスタイルを楽しんでいます。人生をトータルで考えると、福井で暮らさない理由が見つかりません」。

県内企業圧倒的技術力
若者活躍の場も広がっている。

2021年3月、自治体主導では全国初の試みとして県民衛星「すいせん」の打ち上げに成功。推進組織である技術研究組合は、製造系企業6社、システム系企業4社などで構成され、改めて県内企業の技術力の高さを世に知らしめた。今後は「すいせん」から得られるデータの有効活用が期待されている。このように、県内企業には大手に引けをとらない魅力があると杉本知事は言い切る。

「福井には世界シェアナンバー1の企業が17社、国内シェアナンバー1が41社、オンリーワンの技術を有する企業も数多くあります。厳しいビジネスの世界で大手も苦戦している中でも福井の企業はしっかりと勝ち残っており、若いうちから世界を舞台に活躍することもできるのです」。

ものづくり企業だけではない。福井県では、新産業の創出や起業家・ベンチャー企業の育成にも注力。IT関連企業やサテライトオフィスを誘致しているのがその一例だ。

「企業誘致については、考え方を〝量から質〟に転換しています。これまでの投資額、雇用人数に重点を置いたものではなく、給与などの勤務条件や職場環境など付加価値の高い若者に魅力的な企業の誘致を進めています」。

もちろん、働く女性が多い福井県ならではの取組みもある。女性たちの個性と能力が発揮できるよう積極的に取り組む企業を「ふくい女性活躍推進企業」として登録し、その活動をサポート。現在、登録企業は約300社となり、女性の採用・育成・登用や、働きやすい職場環境の整った企業が増えてきているのも女性にとって心強い。

「若いうちから重要な仕事を任されることで、責任感が身につきます。中小企業が多い福井県で働くからこそ、貴重な経験ができるというメリットもあります。チャレンジしていく醍醐味は、大手ではなかなか味わえません。県内企業で働くことは、自身のスキルアップにも繋がります。若いみなさんも自分の力を発揮し、どんどん活躍していって欲しいですね」。

時代が移り変わっても
楽しく安心して暮らせるまち。

昨今の新型コロナウイルス感染症により、大都市圏では自宅療養中に重症化して亡くなる人も出るなど医療提供体制がひっ迫。一方、福井県はというと、独自の対策を打ち出し、感染者数を抑えてきた。この〝福井モデル〟は成功例として一目置かれた。

「積極的疫学調査を実施し、感染者の早期発見・治療につなげたほか、エビデンスや現場の状況を把握した上で『おはなしはマスク』の徹底を呼び掛けるなど、全国に先駆けた取組みを行なってきました。その結果、医師が選ぶ新型コロナ対策の評価において、福井県は2回連続で1位を獲得できました」。

福井県内各所においては、2年後に迫った北陸新幹線福井・敦賀開業に向けた100年に一度のまちづくりが進展している。県都の玄関口である福井駅前では、世界最大のホテルチェーンである米『マリオット・インターナショナル』が入るホテル・オフィス棟を建設中だ。また、福井駅西口の中央大通りでは、歩行者空間へのキッチンカーの出店やイベント開催など、賑わい創出につなげる社会実験「ふくみち」が実施され、新たなまちの風景が見られるように。

「このように福井県では、ウィズコロナの時代にあっても、誰もが安心して暮らせる環境づくりを追求しています。さらに、高速交通体系の整備を契機に、若者にとっても楽しみや元気があふれる魅力的な地域に生まれ変わろうとしています」。

県民企業が共に目指す
持続可能な地域社会の実現。

最近、自治体や企業・団体などで「SDGs」が急速に普及しているが、学生たちが企業を選ぶ上での関心も高まっているという。福井県も2021年5月に、内閣府の「SDGs未来都市」に選定されている。

「目指すのは〝幸福度日本一〟の基盤がある福井県において、全国トップクラスと言われる教育力やものづくりの技術を土台に未来を担う人材を育成し、次世代に選ばれる持続可能な地域社会を実現すること。それに向け、県民や企業のみなさんと連携しながら取組むための仕組みを作りました。2020年8月に創設したSDGs推進のための官民連携プラットフォームには、現在600近い企業や団体が参加しており、今後もメンバーのみなさんと一緒に福井の未来を担う次世代の育成に取組んでいきます」。

また、福井県は大企業こそ少ないものの、社長の輩出率は高く起業家精神の土壌があるのが特徴。そうした中小企業が多い地盤を活かし、次世代のイノベーションにつなげようと、成功した経営者が新たな起業家に投資したり、メンターとして助言を行なったりする「福井型エコシステム」を構築。他にも、身近な問題の解決について住民自ら考えてもらうため、女性や若者、NPO団体を対象に、地域の課題を解決するためのアイデアをプレゼンしてもらい、県が支援金などでサポートする「県民ワクワクチャレンジプランコンテスト」といったイベントも開催している。

「主役は常に県民です。今どんなことに悩み、将来どんな福井県にしたいと考えているのか、現場を見て実際の声を聞きながら、県民のみなさんが活動しやすいよう、県が“ちょい足し応援”をしていきます」。

ワクワクドキドキしてもっとおもしろい!
みんなのチャレンジが福井の未来を創る。

誰もが希望
持ち挑戦できる
これからの福井の姿

福井県の将来像や方向性についてはどのように考えているのだろう。県は2020年に〝「安心のふくい」を未来につなぎ、もっと挑戦!もっとおもしろく!〟を基本理念とした長期ビジョンを策定した。長い歴史の中で先人たちが培ってきた〝安心と信頼〟の福井をみんなで守り、次世代に引き継いでいく。そして、安定した社会基盤とSDGsをもとに、誰もが夢や希望を持って自分らしくチャレンジすることができ、その挑戦を互いに応援し合える。そんな、もっとワクワクドキドキする、おもしろい福井県へと発展していく。

「こうした新しい福井県を創り上げるには、特に若いみなさん一人ひとりの〝チャレンジ〟が欠かせません。可能性は無限大ですので、やりたいと思うことやなりたい自分を思い描き、全力で突き進んでいってください。一緒に〝福井の未来〟を創っていきませんか。あなたのチャレンジを待っています!」。